【 流れ星 】

ヴィーヴィーヴィー・・・
あらゆる警告音がコックピットに鳴り響いていた。
AAとの通信もすでに途絶えている。
マニュアルでは大気圏突入は可能とされているが、実際にはコンピュータ上でのシュミレートに過ぎなかった。
機体の振動が激しくなってきた。
『くっ、桿が重い・・・』
コックピット内の温度はパイロットスーツを着ていても耐え難いほど上昇している。
『大気圏にぶつかったら、俺は流星のように燃えるだろう・・・』

「あぁ」と彼は言った。
「誰か俺を見てくれるだろうか」



田舎道を歩いていた小さな少年が空を見上げて叫んだ。
「お母さん、見て!流れ星だ!」
輝く白い星がたそがれの空を落ちていった。
「願いごとをするのよ」と母親が言った。
「願いごとを」



レイ=ブラッドベリ(川本三郎訳)『万華鏡』より引用



メビウス・ゼロに大気圏突入モードがあるっていう後付設定をHJ誌で読んで一度やってみたかったネタです。
ブラッドベリの『万華鏡』は有名なお話なので、知っている方も多いでしょう。
随分昔に読んだきりなので、改めて読み返したいです。

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